武器や毒物や爆発物や身の回りの道具も駆使するが、素手の戦いの時に顔面にはほぼ掌打を使うのがリアル。目を突いたり、掌底で顎を横から打つなど、自分の手を傷めず固い頭蓋骨に素手で打撃する場合、掌打が有効だ。
また、常に武器を想定するので、相手の攻撃をブロックするのではなく、すり抜けたりかわしたり絡めたりする技法も描かれる。また、強い打撃を打ち込むより、首に指が触れただけで勝敗が決する辺り、実際に刃物を持つとそうなるという現実的な描写になっている。
空体道の組手が強く打ち込むより変化して触れにいくこと、腕を絡めたり歩法ですり抜けたりするのを優先するスタイルなのは、上記の描写通りの理由である。
武器を想定したああいう変化には、鍛え上げられた肉体よりも、しなやかな体が適している。女性や小柄な男性が身を守るのにはそれしかないし、むしろ小ささが強みになる。
最初に代表に会って、「女の私でも先生の武術の高みを目指せますかと」聞いたとき、先のように答えてくれた。
それなりに身についてきている今なら、あのとき言われたことがより納得できる。だからファブルのリアルさもよくわかる。
強さよりしなやかさ。粘り強さより変化。
ファブル主人公はバガボンドの宮本武蔵にも通じるし、くの一漫画のあずみのようでもある。仕事自体は現代の忍者ですね。
この漫画、おすすめいたします。
