脱力の武道の難しいところは、脱力による一体化の点だと思う。腕だけ、足だけ、背中だけ力が抜けると体は歪む。猫背になって背中の筋肉が萎えたり、腕がつぶれたり、膝から力が漏れたりする。
ただ、はじめから一体化を目指すと脱力が進まない。極端な歪みや漏れには注意しつつも、何年もかけて脱力する。一人で脱力、対人稽古で脱力、組手でも脱力。重ねていくうち体は均一化し始め、やがては一体化、統一した体になる。こうなると、動きが小さくなるし、はた目に脱力が見えにくくなる。見慣れない人からしたら逆に硬く見えるかもしれない。実際、来る力の強力さと硬質さは、脱力とはイメージが結び付きにくいものになる。
私が学び始めた当初から、代表は体が統一していたので(ご本人曰く今の質とは違うとしても、組手や形をやりこんだまとまりが確かにあった)、単なるフヌケな動きになる自分の動きがこれでいいのか悩んだ。「先生カッコいいのにあたしは何なんだよ〜o(`^´*)ちくそ〜!」と。でもよかったのだ。組手のやりこみが足りなかった当時の私にはフヌケも必要な過程で、だから今がある。
長年の稽古にて、一体化の兆しはあるのも自覚している。ただただ、目指す地点からいえば不十分過ぎる。
というわけで、過程内特訓も含めて、日々修練あるのみ!